
世界自然遺産の島・鹿児島県徳之島。その花徳海岸で、ついにQSイベントが開幕した。真っ白な砂浜と力強いブレイクを舞台に迎えるのは、WSLジャパンレッグの最終戦だ。
朝早くから観客や地元の応援団が集まり、声援が浜辺に響き渡る。会場全体を包み込む熱気とともに、記念すべき大会初日がスタートした。

大会初日のコンディションは、東風によるうねりで腹.胸、時折肩サイズの波が押し寄せた。オンショアの影響でフェイスはややガタついていたものの、良い波を選べばアウトからインサイドまでつなげられるポテンシャルを秘めていた。ビーチ右手の岩場脇にはアウトへと向かうカレントがあり、その左側に広がるピークが選手たちの戦いの舞台となった。初日のスケジュールはメンズのRound of 40から始まり、その後Round of 32へと進んでいった。
オープニングヒートには矢作 紋乃丞が登場。コンディションを確認するかのようにリズムよく波を掴み、終始安定したライディングでスコアを重ね、危なげなく1位通過を果たした。「波を読み切れなかったので、次のヒートは思い切り攻めたい」とコメントし、次戦に向けて意欲を見せた。
Round of 40のヒート2には地元の選手2名がクレジット。そのひとり吉田選手は、今回のイベント開催に尽力した中心人物でもある。
「徳之島町は海しかない町なんです。3つの町の特色の中で、天城町はトライアスロン、伊仙町は闘牛。そして徳之島町は“海”。だからこそマリンスポーツとしてサーフィンを盛り上げていきたい」と語ってくれた。
国際大会の開催を通じて徳之島の魅力を発信し、観光資源として海をアピールする。その思いに加え、2年前の国際大会をきっかけに子供たちがサーフィンを始めた例もあり、トップ選手のライディングを間近で見ることが普及につながるとの考えを示した。惜しくも2人は敗退となったが、応援団の声援は会場を大いに盛り上げた。

ヒート3には地元選手サチモト シゲキが登場。奄美出身のウエハラ ヤマトとのシーソーゲームを制し、見事Round of 32へ進出。1位通過を果たしたのはアジアQSでも活躍する山中 海輝で、安定感あるサーフィンを披露した。
いよいよトップシードが登場するRound of 32へ。
ヒート1にはアジアランク1位の小林圭が姿を見せた。序盤から攻めのサーフィンを展開し、開始3分足らずで2本のライディングを決めると、ライトの波で力強い2ターンコンボを披露して5.83をスコア。さらに残り時間2分にはエアーリバースを決め、7.17をマーク。トータル13.34で圧巻の1位通過を果たした。序盤に2本の4点台を揃えた矢作 紋乃丞も2位通過し、ともにRound of 16へ駒を進めた。

ヒート2では堀越 力が序盤は慎重に出だしながら、中盤で6.83をスコア。さらに5点台を重ね、終盤にはバックアップを更新してトータル12.06を記録。「風の影響でアナウンスが聞こえず、ただ波に乗り続けたことが良い方向に働いた」と振り返り、次戦に自信を見せた。本郷 拓弥も後半にスコアを重ね、ラウンドアップを決めた。


ヒート3では太田 拓杜がテンポの良いサーフィンを展開。リズムを合わせたライディングでトータル10.83をまとめ、堂々の1位通過。「これまでの敗戦から学び、慌てないよう心がけた」と語り、作戦が功を奏した形となった。

ヒート4は中国選手のノーショウにより、日本人3名での戦いに。アジアランク7位の渡辺 壱孔がクレジットされた中、渡辺が開始早々ライトの波で4.67をスコア。宇野も4.17を記録するが、潮止まりの影響で波数が減少。苦しい時間帯が続く中、残り1分で渡辺がレフトを掴み3.87を加点し、1位通過を決めた。宇野が2位で続いた。

ヒート5にはアジアランク5位の金沢 呂偉が登場。1本目から4.50をスコアした山中 海輝が序盤をリード。金沢も4.13で応戦するが、中盤に西修二がフロントサイドのリバースを決めて4.10をスコア。その後も立て続けにライディングをまとめ、4.53と4.73を加点して逆転。勢いそのままに1位通過を果たした。終盤に逆転を狙った金沢は届かず、西と山中がRound of 16進出を決めた。



ヒート7は注目のカード。鈴木一歩、金沢太規、川俣 海徳、そして奄美の碇山ゲンが登場した。開始早々、川俣がバックサイドの2ターンコンボで4.17をスコアし、続くレフトの波では5.83を決めて主導権を握る。鈴木も縦へのアプローチで4.57をマークし追い上げるが、川俣は残り3分を切ったところでレイバックターンを絡めた6.37を叩き出し、トータル12.20で1位通過。金沢も終盤にバックアップを更新し、10.40で2位通過を決めた。鈴木は攻め続けるもスコアが届かず、碇山も見せ場を作れず敗退となった。


ヒート8には、9月のQS2000で準優勝した須田 喬士郎がクレジット。中国のWensong Maがノーショウとなり、須田・和気・星野の3名での戦いに。須田は開始直後から主導権を握り、6.00をマーク。中盤には5.33、終盤にはさらに5.90を加え、トータル11.90で圧勝。落ち着いた試合運びで1位通過を果たした。和気は終盤に形の良いライトを掴んで逆転に成功し、3.93を加えて2位に浮上。最後まで粘った星野は3位に沈んだ。


こうして大会初日は、メンズのRound of 32ヒート8を終えて幕を閉じた。トップシードの敗退もあり波乱含みのスタートとなったが、会場は最後まで熱気に包まれ続けた。
明日はいよいよウィメンズのラウンドが開幕する。Day2は午前7時ファーストコール、7時半スタート予定。ジャパンレッグ最終戦となる「Tokunoshima Town Pro QS2000」、島を揺るがす熱戦から目が離せない。





