台風スウェルが花徳浜に到達。「TOKUNOSHIMATOWN PRO 2026」が開幕

世界自然遺産の島・徳之島で3度目の開催となるWSLイベント「TOKUNOSHIMA TOWN PRO QS 2,000」が、10月8日、花徳浜(けどくばま)で開幕した。

今シーズンのWSL Asiaツアーは日本では徳之島、御前崎、宮崎と続く3連戦が行われる。日本レッグの初戦となる今大会は、CSクオリファイを目指す選手たちにとっても重要な一戦だ。

日本で開催されるコンテストの中でも、毎年サイズのあるハイクオリティーなコンディションで行われる大会として認知度が高まり、今年もアジア各地からトップ選手が集結した。

「美しい海があるからこそ世界の選手が集い、その海を未来へ残すために行動する」

大会では世界のトップサーファーが徳之島の海で競い合う姿を通して、島の自然と海の魅力を国内外へ発信。水中彫刻「Ocean Gaia」をはじめとする海洋環境への取り組みと、サーフィンを通じた国際交流を結びつけ、徳之島の未来の姿を示している。

開幕前の一週間は、台風の進路によっては会場がクローズする可能性も心配されていた。しかし台風のコースがずれたことで、花徳浜には選手たちが競技するのに十分なサイズのうねりを残し、天候にも恵まれる大会初日となった。

朝から北東のサイドオンショアが吹き、海面は乱れ、ラインアップには流れも発生。練習中にサーフボードを折る選手が出るほど、台風からのパワフルな波が押し寄せていた。

Round of 56

Round of 56のHeat 1には、バリ島を拠点とするブラジル人サーファー、ラファエル・カストロが登場した。

まだ若手ながら、2年前から日本で開催されるQSにも参戦。バリ在住のためアジアリージョンのランキングが適用され、アジア各地のQSを転戦している。日本人選手とも親交が深く、試合以外でも日本各地を訪れるなど、すっかり日本の魅力にはまっているという。

ラファエルはヒート1本目から6.17をスコアすると、続けて5.00をまとめ、トータル11.17をマーク。力強いサーフィンで、その実力を見せつけた。

奄美大島出身の永田理人は、ヒート終了間際の波をつかんで逆転。1位で次のラウンドへ進んだ。

「緊張していたけれど、最後に乗れてよかった。奄美にはビーチブレイクがないので苦戦したが、掘れていてパワーのある波なので当てやすかった」

難しいコンディションの中でも最後までチャンスを待ち、勝負を決める一本をつかんだ。

Round of 48

Round of 48に入っても、花徳浜の掘れた波と複雑な流れは選手たちを悩ませた。特に会場左側のインサイドは大きく掘れ、バックウォッシュも重なる難しいコンディション。セットによってブレイクする場所が変わるため、乗れる波と速く閉じてしまう波を見極めることが重要となった。

Heat 1では、Round of 56で好調な滑り出しを見せたラファエル・カストロに対し、矢作紋乃丞と和氣匠太朗が立ちはだかった。

2人は速く掘れ上がる波を見極め、セクションに合ったマニューバーを選択。難しいフィニッシュまでしっかりと着地し、着実にスコアを重ねていく。最後まで安定したライディングをそろえた和氣と矢作が、ラファエルを抑えて勝ち上がった。

Heat 2からHeat 3にかけては、さらに波が読みづらくなった。インサイドで急激に掘れ上がるセクションを、最後まで決め切れるかどうかが勝負の分かれ目となる。

いくつもの技を詰め込むというより、パワーのあるセクションで一発の大きなターンを決めた選手が接戦をものにしていく展開。その中で藤田、宇野、井上、浜矢凪が難しいヒートを勝ち切り、次のラウンドへ進んだ。

Heat 4を迎える頃には潮が引き始め、その影響もあってか、会場右側に形の良いライトの波が入り始めた。

足立海世は一人、右側のライトに狙いを定める。待っていた場所に形の良い波が入ると、掘れたフェイスに2つのマニューバーを入れてグッドスコアをマークした。

上山キアヌ久里朱も形の良い波をつかみ、的確なサーフィンでスコアを重ねる。2人はこのラウンドでも上位となるトータル8点台をそろえ、足立が1位、上山が2位で勝ち上がった。

Heat 5では、若手の松野太郎が会場を沸かせた。序盤から5点台をスコアすると、バックアップにも再び5点台をそろえ、トータル11.00をマーク。このラウンドの中でも高いトータルスコアを出し、1位で通過した。

その後に続いたのは松下諒大。僅差の戦いとなった中でも攻めの姿勢を崩さず、難しいセクションへ果敢にアプローチして2位の座をつかんだ。

Heat 6では、田中がトータル9.67をマークして1位通過。牧野も変化の激しい波に対応し、2位でRound of 32への切符を手にした。

Heat 7は、伊豆をホームとする選手同士の戦いとなった。その中で存在感を見せたのが、トリッキーなサーフィンを持ち味とするオノと、長身から繰り出すパワーサーフィンが武器のヤマモトだった。

序盤からエンジンをかけたオノに対し、ヤマモトはヒートが進むにつれて徐々にリズムを上げていく。それぞれ異なるスタイルでしっかりとスコアをまとめ、伊豆勢の2人が1位、2位で勝ち上がった。

最終Heat 8も同郷の選手同士がぶつかるヒートとなった。勝ち上がったのは、ともにトリッキーなサーフィンを得意とするグーフィーフッターの鈴木と堀越類。予測しづらい波に対して持ち味を発揮し、Round of 32へ駒を進めた。

波のコンディションもあり、この日はそのままRound of 32まで競技を行うことが決定された。

Round of 32

このラウンドからトップシードの選手たちが参戦する。

今年はアジアで開催されるQSの数も限られているため、選手たちにとっては、ポイントを獲得できる大会で確実に結果を残すことが重要になる。CSへの返り咲きや初クオリファイを目指す選手にとっても、このRound of 32を勝ち上がる意味は大きい。

Heat 1には、CSで戦った経験を持つ加藤翔平がクレジットされた。

アジアツアーランキング上位を狙い、チャレンジャーシリーズへ戻ることを目標とする加藤は、現在アジアランキング9位。今大会で好成績を収め、御前崎、宮崎と続く日本連戦へ勢いをつなげたい。

そこに立ちはだかるのは、地元サーファーのミズモト、Round of 48でも調子の良さを見せた和氣と宇野。

序盤は4.87をスコアした宇野がヒートをコントロールした。しかし後半、和氣がこの日のシングルハイエストとなる6.50をマークしてトップへ浮上。加藤も徐々に流れをつかみ、後半戦で4.50と4.20をそろえて2位のポジションに入った。

宇野も逆転につながる波を探し続けたが、バックアップスコアを伸ばすことができず、和氣と加藤が1位、2位を守り切ってラウンドアップを決めた。

「海に入ると海が広く、迷子になりやすい。動きが止まらないように、できるだけ多くの波に乗るようにした」

和氣はヒート後にそう振り返った。台風スウェルが入ることを考え、普段よりも長めのボードを用意したという。パドルアウトにも力を要するコンディションだけに、ボードのチョイスも勝敗を左右する重要なポイントとなりそうだ。

Heat 2には、韓国QSで好成績を残し、ランキング上位につけるカノア・ヒージェイが登場。ここでもポイントを積み上げたいカノアに対し、日本でランキングを上げたい金沢呂偉も負けられない一戦となった。

ヒート序盤は各選手とも波選びに苦戦。しかし時間が進むにつれてコンディションに順応し、少しずつスコアを重ねていった。

その中で宮崎出身の藤田が持ち前のパワーサーフィンを披露し、トータル8.13で1位通過。長年コンペティションの世界で戦ってきた金沢が、経験を生かしたヒート運びで2位に入り、Round of 16へ進んだ。

Heat 3では、西優司と上山キアヌ久里朱が勝ち上がった。

西はアジアのQSツアーで優勝経験を持つ実力者。ツアーランキングで結果を残し、再びCSへチャレンジすることを目指している。このヒートでもトータル9.87をまとめ、1位通過を決めた。

上山も状況に合わせたスマートな試合運びを見せ、トータル8.67で2位。難しいコンディションの中でも慌てることなく、順調にラウンドを勝ち進んだ。

Heat 4では、足立海世と浜矢凪がラウンドアップした。

足立は一つ前のラウンドで、自分が乗りたい波の場所を見つけた様子だった。狙うべき波と、その波でやるべきことが見えており、一つひとつの仕事を淡々とこなしていく。トータル10.00をマークし、1位でヒートを勝ち上がった。

一方で、足立本人はまだ完全には納得していない。

「まだ自分がしたいサーフィンを完全にはできていない。明日はしっかり調整して、100%を出せるようにしたい」

浜矢は、スタイリッシュなライディングから繰り出すシャープなアプローチで、難しいセクションにうまくタイミングを合わせていた。トータル9.33をそろえ、2位でRound of 16へ進んだ。

Heat 5では、先日行われたISA Under-16 Boysで銀メダルを獲得した松野太郎が、さらに磨きのかかったサーフィンを披露。6.00と5.33をそろえ、トータル11.33をマークして1位通過を決めた。

松野の姉で、今大会のWomensに出場する松野杏莉も徳之島の波に挑む。世界の舞台を経験した姉弟が、今大会でどのような活躍を見せるのかにも注目したい。

2位には、5.17と4.17をまとめた安室丈が入った。

同じHeat 5には、奄美大島をホームとする牧野と浜崎も出場。徳之島とゆかりの深い奄美大島出身の選手ということもあり、ビーチには多くの地元の知人が集まった。

2人が波に乗るたびに大きな声援が送られ、会場はこの日一番ともいえる盛り上がりを見せた。歓声もひときわ大きく、島同士の強いつながりを感じさせるヒートとなった。

Heat 6では、スマートかつアグレッシブなサーフィンを持ち味とする鈴木仁が登場した。

大会でも常に上位へ食い込む実力を持つ鈴木だが、現在はアジアランキング15位。今大会で勢いをつけ、御前崎、宮崎と続く日本連戦へつなげたいところだ。

鈴木は5.33と4.40をそろえてトータル9.73をマークし、1位でラウンドアップ。同じ鹿児島県の種子島出身である須田喬士郎も、5.67を含むトータル9.10をまとめて2位通過を果たした。

気候や波質、島を包む空気感など、須田にとって徳之島にはどこかホームに近い感覚があったのかもしれない。

Heat 7は、ヒートを通して順位が何度も入れ替わるシーソーゲームとなった。

全員が「あともう一本」という僅差の展開で、最後まで誰が勝ち上がるか分からない。その状況でチャンスを確実につかみ、必要なスコアを決め切ったのは増田と大音だった。

増田がトータル9.57で1位、大音が8.96で2位。プレッシャーのかかる場面で一本をまとめた2人が、Round of 16への切符を手にした。

本日の最終ヒートとなったHeat 8では、岩見天獅が中盤にヒートハイエストとなる5.50をスコア。バックアップにも4.83をそろえ、トータル10.33としてリードを広げた。

今日の難しいコンディションでは十分なスコアとなり、そのままトップの座を守り切って1位通過。山本がトータル7.80で2位に入り、最終ヒートを締めくくった。

他の選手よりも早く徳之島に入っていた岩見は、試合前に良い波を堪能。地元の人々の優しさや、おいしい食べ物にも触れながら、しっかりと調整することができたとコメントを残した。

西優司、上山キアヌ久里朱、足立海世、浜矢凪、安室丈といったトップ選手に加え、ISA Under-16 Boys銀メダリストの松野太郎も素晴らしいサーフィンを披露し、明日のRound of 16へ駒を進めた。

明日はRound of 16からスタート

大会2日目はMen's、Womensともにスタンバイ。午前7時にファーストコール、7時30分から競技開始を予定している。

波のサイズは少し下がる可能性があるものの、徳之島らしいパワフルなブレイクはまだ残ることが予想される。

Men'sはRound of 16から再開。勝ち残った選手たちによる、さらにレベルの高い戦いが始まる。どのヒートも目が離せない一日となりそうだ。

Text / @Dai Wako
Photo / @charfilm

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