佐藤李、安室丈が徳之島を制す。「TOKUNOSHIMA TOWN PRO 2026」

Finals Day

雨予報から一転し、朝から強い日差しが照りつけた「TOKUNOSHIMA TOWN PRO QS 2,000」Finals Day。

風はほとんどなく、会場の花徳浜は朝から厳しい暑さとなった。波はサイズダウンが予想されていたものの、実際には昨日よりもワンサイズ大きく、時折頭半ほどのセットが押し寄せた。

大きなセットは沖からブレイクするため、どこで波を待つのか、どの波を選ぶのかが勝敗を左右するコンディション。セットが入るたびにドルフィンスルーを繰り返しながら、ポジションを維持しなければならないタフな一日となった。

最終日はWomen’s Semifinalsからスタート。Semifinalsは30分、Finalsは35分のヒートで行われた。

Women’s Semifinals

Heat 1 川瀬心那 vs ハナ・バッカー

開始早々に動いたのはレッドの川瀬心那。先手を取るように波へ乗り、バックサイドで一発のターンを決めた。このライディングに3.00がスコアされ、まずまずのスタートを切る。

ハナ・バッカーも波へ乗ったが、1本目はブレイクが速く、マニューバーを入れることができなかった。そこからは、両者がじっくりと波を待つスローな展開となる。

残り17分に差しかかったところで、プライオリティを持った川瀬が再び波へ乗る。しかし、マニューバーを最後まで決め切れず、リードを広げることはできなかった。

ヒートの半分が経過したところで、バッカーがようやく形の良い波をつかむ。レイバックターンを含む2発のコンビネーションを決め、4.50をスコア。一気にトップへ浮上し、それまでリードしていた川瀬が追いかける立場となった。

川瀬も得意のバックサイドで一発のターンを入れ、3.47をスコアして再逆転。しかし、その差は小さく、バッカーにも十分に逆転のチャンスが残された。

残り9分、バッカーがセットの波をキャッチ。1本目以上に攻めたサーフィンを見せ、カービングターンからフィニッシュまできれいに決めた。

川瀬も立て続けに波へ乗り、バックサイドで2発のターンを入れて応戦する。しかし、バッカーのライディングには5.50がスコアされ、トータル10.00として再びトップへ。川瀬のスコアは3.47にとどまり、逆転には6.53が必要となった。

残り時間で川瀬が逆転につながる波をつかむことはできず、そのままタイムアップ。バッカーが自身初となるQS Final進出を決めた。

Heat 2 佐藤李 vs 松田詩野

最初に波をつかんだのは、「波がよく見えている」と話していた佐藤李。バックサイドで一発のターンを入れ、2.33をスコアした。

波選びが難しいコンディションでは、開始直後から波へ乗り、ヒートのリズムをつかむことも重要な戦略の一つとなる。

プライオリティを持った松田詩野は小さめの波にテイクオフしたものの、すぐにプルアウト。スコアにはつながらなかった。

中盤に差しかかったところで、佐藤が小さめながら形の良い波をキャッチ。複数のターンを含むコンビネーションをまとめ、5.00をスコアしてリードを広げる。

追いかける立場となった松田もプライオリティを使って波へ乗るが、ブレイクが速く、思うようにスコアを伸ばせない。

その結果、プライオリティを得た佐藤がサイズのあるセットをキャッチ。掘れ上がるクリティカルなセクションへ大きなターンを入れ、しっかりとメイクした。

この一発のターンに7.67の高得点が与えられ、トータル12.67。松田をコンビネーションシチュエーションへ追い込み、そのままFinal進出を決めた。

Men’s Semifinals

Heat 1 足立海世 vs 西優司

最初に動いたのは足立海世。1本目、2本目と立て続けに波へ乗り、2本目ではきれいなカービングターンからフィニッシュまで決めて5.67をスコアした。

それに応えるように、西優司も形の良い波をつかむ。最初のセクションでタイミングを見計らったレイバックターンを決めると、間髪を入れずに掘れ上がったセクションへフローターを仕掛け、次のセクションへつないだ。

3発目のターンには入れなかったものの、この波で6.67をスコア。西がトップへ浮上した。

波へ乗り続ける足立は、スピードのあるカービングからロールインを決めて4.50を追加。トータル10.17として再びトップへ立ち、西は3.50を追う展開となった。

西は再び形の良い波をつかんだが、フィニッシュを決め切れず3.33。逆転に必要なスコアにはわずかに届かなかった。

中盤には足立も形の良い波で2発のターンを見せたが、スコアは4.20。トップ2スコアを塗り替えることはできない。

プライオリティを持った西は、ここから慎重に波を選ぶ作戦へ切り替えた。足立も大きなワンターンを見せたものの、バックアップスコアは更新できず、ヒートはそのまま終盤へ入った。

残り2分、西が最後のチャンスとなる形の良い波をキャッチ。カービング、オフザリップ、フィニッシュを含むコンビネーションを決め、3.67をスコアした。

わずかな差で足立を逆転し、トータル10.34。最後の最後で勝負をひっくり返した西がFinalへ進んだ。

Heat 2 安室丈 vs 鈴木仁

最初に仕掛けたのは鈴木仁。1本目で3.33をスコアすると、続けて波へ乗り、掘れたセクションでレイバックターンを決めた。

ワンターンのライディングながら4.83がスコアされ、鈴木は序盤のうちに2本をまとめる。

じっくりと波を待っていた安室丈も、形の良い波を選んで動き始めた。カービングからフィニッシュまできれいに決め、4.33をスコアしてヒートへ戻ってくる。

逆転に3.84が必要となった安室は、続けてバックサイドの波をキャッチ。ソリッドな2発のターンを入れ、このライディングに5.67が与えられた。

安室が逆転に成功し、鈴木は5.18を追う立場となる。ここから両者とも慎重に波を選ぶ作戦へ切り替えた。

アンダープライオリティの安室は、バックアップを塗り替えようと積極的に波へ乗り続ける。しかし、トップ2スコアを更新するまでには至らない。

終盤に入ると、鈴木がセットの波をキャッチ。大きなワンターンを決めたが、逆転に必要な5.18に対してスコアは4.50。わずかに届かなかった。

残り5分を切ると、安室はプライオリティをうまく使い、鈴木に逆転のチャンスを与えない。そのままリードを守り切り、Finalへ駒を進めた。

Women’s Final

佐藤李 vs ハナ・バッカー

Semifinals終了後、そのまま各ディビジョンのFinalがスタート。35分ヒートで行われたWomen’s Finalは、佐藤李と自身初のQS Final進出を果たしたハナ・バッカーの対戦となった。

最初に動いたのは佐藤。形の良い波をつかむと、最初のセクションで際どい場所へ当て込み、続けてフィニッシュへアプローチした。

最後は波が重なり、ボードを前へ出し切ることができなかったものの、3.67をスコア。メイクしていれば高得点も期待できるライディングだった。

佐藤はそのまま流れを切らさず、立て続けに波へ乗る。持ち味である大きなカービングターンから、スプレーを上げるフィニッシュを決め、しっかりと前へ出てきた。

この2ターンのコンビネーションに5.33がスコアされ、佐藤はトータル9.00としてリードを広げる。

対するバッカーはじっくりと波を待つ。残り25分となったところで、ようやく小ぶりながら形の良い波をキャッチした。

カービングターンからホワイトウォーターへのフィニッシュを決めたが、スコアは2.83。逆転には6.17が必要となった。

プライオリティを使って佐藤が再び波へ乗り、きれいな3ターンのコンビネーションを披露。4.00をスコアし、トップ2スコアは変わらなかったものの、安定した試合運びを続ける。

アンダープライオリティのバッカーも波へ乗り、ミスなく最後までつないだ。しかし、スコアは3.77と逆転には届かず、佐藤がリードを維持した。

バッカーは続けて波をつかみ、パワフルなレイバックターンを披露するが、シチュエーションを変えるスコアにはつながらない。

残り5分を切ったところで佐藤が再び動く。形の良い波を選び、3ターンのコンビネーションを決めて4.20をスコア。トータル9.53として、その差を広げた。

バッカーは逆転に5.53が必要となり、プライオリティを持って最後の波を待つ。しかし、狙っていた波は入らず、そのままタイムアップ。

佐藤李が「TOKUNOSHIMA TOWN PRO 2026」Women’sChampionに輝いた。

「自分の目標をかなえるために何をすべきかを真剣に考え、自分と向き合う時間を作りました。いつもはプランどおりに試合を運べないこともありましたが、今回は自分を信じて、理想どおりにプランを実行できました。島の皆さんが優しく、期間中は多くの地元の方々が応援してくれたので、とても有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました」

自分のサーフィンと向き合い、波のリズムをつかみ続けた佐藤が、うれしいQS優勝を手にした。

Men’s Final

西優司 vs 安室丈

大会最後のヒートとなるMen’s Finalは、西優司と安室丈の対戦となった。

最初に波へ乗ったのは安室。緩慢なセクションをカービングでつなぎ、波が掘れ上がったところへターンを入れた。このライディングで2.83をスコアする。

そこから両者ともじっくりと波を待つ時間が続いた。開始から8分が経過したところで、安室が2本目の波をキャッチ。きれいなカービングを見せたものの、最後のターンでバランスを崩してしまう。それでも3.83をスコアし、少しずつトータルを伸ばしていった。

安室が動き続けるのに対し、西は自分が乗りたい波をじっくりと待つ作戦を選んだ。

安室はアンダープライオリティでつかんだ波でも、カービングからリッピングへとバリエーション豊かなアプローチを見せ、4.50をスコア。トップスコアを更新した。

約12分間波を待った西が、ようやくテイクオフ。スピードをつけてセクションを抜けると、スムーズなカービングからフィニッシュまで成功させた。

このライディングには5.33がスコアされ、ヒートのベストスコアを更新。西が一度トップへ浮上する。

ヒート中盤、アンダープライオリティの西が再び波へ乗り、一発目で良いターンを入れたが、2発目でボードが引っかかり、ライディングをまとめ切れない。

その後ろから安室が形の良い波をつかむ。ファーストターンから際どいセクションへ当て込むと、続いて掘れ上がったセクションへスピードのあるロールインを決めた。

この波で6.33をスコアし、安室がトータル10.83としてトップへ返り咲いた。

西も動きを止めることなく波へ乗り続けたが、スコアは3点台にとどまり、ヒートは終盤へ入る。

安室がプライオリティをキープする中、残り5分、西がインサイドの波へパドル。安室はその波を行かせ、西が最後の勝負に出た。

最初のセクションで縦への鋭いアプローチを見せると、続けて2発のターンを入れる。逆転に必要なスコアは5.51。このライディングに5.17がスコアされ、トータル10.50まで迫ったが、わずか0.34ポイント届かなかった。

残り4分を切ると、安室は西の近くへ移動してマークに入る。最後に形の良い波が入ったが、プライオリティを持つ安室がその波へ乗り、西の逆転のチャンスを閉ざした。

そのまま試合は終了。安室丈が西との接戦を制し、「TOKUNOSHIMA TOWN PRO 2026」Men’s Championに輝いた。

「2回目のQS優勝なので、本当にうれしいです。相手が誰なのかは考えず、自分がやるべきことだけに集中しました。調子が良くても試合で負けてしまうことが多かったので、ようやく勝つことができ、お世話になった方々へ恩返しができたこともうれしいです。島の皆さんにも優しくしていただき、それが自分の力になりました」

自身のサーフィンと戦略に集中し続けた安室が、キャリア2度目となるQS優勝を徳之島でつかみ取った。

徳之島のパワフルな波を制した2人

Finals Dayの花徳浜には、セットの多くが沖からブレイクするパワフルな波が押し寄せた。

選手たちは何度もドルフィンスルーを繰り返しながら、波待ちのポジションを維持しなければならない。体力だけでなく、波を見極める力と、その中で自分の戦略を最後まで貫く強さが求められた。

そのタフなコンディションの中で、大会を通して花徳浜の波のリズムをつかみ、自分のプランを実行した佐藤李と安室丈が、うれしい優勝を遂げた。

3日間を通してパワフルな波に恵まれた「TOKUNOSHIMA TOWNPRO 2026」。国内外のトップ選手たちが世界自然遺産の島で熱戦を繰り広げ、会場には連日、地元の子どもから大人まで多くの観客が集まった。

選手が波に乗るたびにビーチから歓声が上がり、サーフィンを通じて選手と島の人々がつながった3日間。

世界自然遺産の美しい海を舞台に、今年も新たなチャンピオンと数多くの物語が生まれ、「TOKUNOSHIMA TOWN PRO 2026」は幕を閉じた。

WSL TOKUNOSHIMA TOWN PRO QS 2,000 / Women’s
女子ファイナリスト

Winner:Sumomo Sato(佐藤李)
2nd:Hana Backer(ハナ・バッカー)
3rd:Cocona Kawase(川瀬心那)
3rd:Shino Matsuda(松田詩野)

WSL TOKUNOSHIMA TOWN PRO QS 2,000 / Men’s
男子ファイナリスト

Winner:Joh Azuchi(安室丈)
2nd:Yuji Nishi(西優司)
3rd:Kaisei Adachi(足立海世)
3rd:Jin Suzuki(鈴木仁)

Text / @Dai Wako
Photo / @charfilm

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